「できること」と「できる力があること」の違い

教育・子育て・遊び

どうも。しゅんすけです。
今回は、足るを知る教育・子育てについて考えたことです。現在3歳&10ヶ月の我が子を育てつつ、青少年教育に関わる生き方をしていますが、常々「できることと、できる力があることは違うよなー」と考えていました。
まあ、教育に関することだけじゃないんですけど「できるのにやらないことが許せない」とか「自分で出来るでしょ!」とかってよく聞いたり使ったりしませんか?
こんな言葉を聞くたびに、なんとなく違和感があったので、今日はこれらの違いのお話です。

昨日できたんだからできるでしょ!

はい。ということで「できること」について考えていきたいと思います。
突然ですが、ちょっと次のセリフを考えてみましょう。

「昨日できたんだからできるでしょ!」

よく聞きませんか?
それも自分の声で。笑
ぼくだってよく聞きます。笑

特に我が子に対しては思っちゃうし言っちゃうんですよね。

例えばトイレ。
うちの3歳の娘は、1ヶ月ほど前からトイレでおしっこができるようになりました。
トイレトレーニングなんてほとんどしていないのに、トイレに座らせてみたらなんとも上手にするもんです。

で、「なんだ、おしっこできるじゃん!」という思考が、親の頭の中で確立されるわけです。
しかも、2日~3日たっても漏らすことがない!

これは遂にオムツも卒業で、トイレもマスターしたな!と有頂天になる親。
そんな中、パンツに移行して1週間くらい経った頃、トイレに行けずに漏らしてしまう。

「まあ、そんなこともあるよな」と余裕に構えていたのも束の間、その日以降毎日漏らすようになったらどうでしょう。

「あれ?できるはずなのになんで?」と考えるわけです―――。
そして娘に一言

「できるんだから、でそうになったら教えてね」

あるあるですね。
子育て経験のある方々が、大きく頷くのが見えます。笑

まあ、この声掛けが悪いって言ってるわけじゃなくて、「できる」っていうのは「完璧にマスターする」ってこととは違うっていう話です。

トイレの話で言えば、確かにうちの娘は「トイレでおしっこする能力」はあるでしょう。でも「遊びに夢中になっている時は、尿意に気が付けない」のかもしれません。

これは一例ですが、「できる力がある」というのは、一定の条件下で発揮される力のことで、環境やモチベーション、その時の様々な状況によって、できたり、できなかったりするわけです。

だから「できるんだから」っていうのは、ちょっとずれてて、できる力があっても、できないことがあるってことを、意識しておくことが大事だと思っています。

ダウン症の姉から学んだこと

少し話はそれますが、ぼくには7つ上の姉がいます。
そして姉はダウン症です。

産まれた時から一緒に暮らしていたことで「何かができるようになるには、それなりの時間が必要」ということを学びました。

姉は、自分のことは自分でやります。
でも、何かを覚えるには時間がかかりますし、今日できたことが明日できないなんて日常茶飯事です。

それでも、毎日少しずつできることが増えていって、前に進んだり、後ろに下がったりしながら、本当に少しずつ進んでいきます。

教育ってこういうことですよね。
3歩進んで2歩下がるを繰り返しながら、1歩ずつ進んでいくわけです。

何かができるようになるにはそれなりの時間がかかるし、できるようになったと思っても、次の日にはできなくなってしまうとか。これが普通なんだと理解しているだけでも、心に余白が生まれます。

できるっていうのは、能力のことではないですね

はい。ということで話がゴチャついてきたので最後にまとめますね。笑

  • 「できる」というのは、完璧にマスターしていて、いつでもどこでも失敗することがないってことではない。
  • できる力があっても、その時のモチベーションで、できなくなることもある
  • 本当の意味でできるようになるには、それなりの時間が必要。結果を焦らない

こんなとこでしょうか。笑
改めて並べてみると当たり前のことしか書いていませんが、足るを知る暮らしでは、物理的な欲望だけではなく、「できる」みたいな目に見えない欲望とも向き合うことが大切なことです。できないことがあってもいいですよね。

これからは「できるんだから」という言い方は、極力しないようにしたいと思います。
では、また。

PS.
ぼくは宮沢賢治の童話が好きなんですが、「セロ弾きのゴーシュ」って知ってますか。
あまり上手ではないゴーシュというセロ弾きの家に、毎晩色んな動物が現れて、ゴーシュのセロが上達していくって話なんですけど、最後に現れた野ネズミが帰った後、こんな文章があるのをご存じですか。

「それから六日目の晩でした。」

そして、その後のコンサートでゴーシュのセロが褒められるわけですが、この「6日間の空白」が教育には時間が必要ということを物語っていると思います。「次の日」じゃないんです。「6日後」なんです。

興味のある方はぜひ読んでみてください。(^^)

(しゅんすけ)