その日、家の中にいたら、外からバタバタと足音がして、
勢いよく扉が開きました。
「お父さん!」
少し息を切らした娘が、両手で大事そうに抱えていたのは、
くしゃくしゃになったビニール袋。
「見つけた!」
そう言って差し出してきた中に入っていたのは——
春のお化け、ばっけでした。
ばっけ。
東北の言葉で、フキノトウのこと。
まだ少し冷たい土の中から、ひょこっと顔を出すその姿は、
たしかにどこか“お化け”みたいで、ちょっとおもしろい。
袋を開けた瞬間、ふわっと広がるあの香り。
一気に、季節が切り替わる感じがしました。
「ああ、春が来たなあ」って。

こうなると、やることはひとつ。
毎年恒例の、ばっけみそ作りです。
細かく刻んで、フライパンでじっくり炒めて、
味噌と砂糖を混ぜるだけ。
シンプルだけど、この苦みと香りが、なんとも言えずうまいんです。
炊きたてのご飯にのせて食べると、
それだけで、ちょっと贅沢な朝になります。
……とはいえ、この良さはまだ子どもたちには伝わらないみたいで。
「いらない」
と、あっさり断られました。笑
でも、たぶんそれでいいんだと思います。
こういう味って、
少しずつ、時間をかけて好きになっていくものだから。
気づいたら、
「あの苦み、いいよね」って言い出す日が来るのかもしれません。
そんなふうに、季節の変化や自然の恵みを、
ただ知識としてじゃなくて、体で感じていく。
そんな時間を過ごせる場所として、
今年も森のようちえん「ておみる」や「テオミルキャンプ」を準備しています。
特別なことはしないけど、
自然の中で過ごすだけで、ちゃんと残るものがあるなと感じています。
もし、「ちょっと気になるな」と思ったら、
今度は自分でも“春のお化け”を探しに行ってみてください。
足元をよく見て歩くだけで、
ひょこっと顔を出しているかもしれません。
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興味があれば、そちらもチェックしてみてくださいね(^^)
